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太陽光発電における過積載

一般的に「過積載」とは受け皿となる物の許容量を超過している状態を指します。

太陽光発電においても同じ意味ではありますが、一般的に過積載は危険行為としてネガティブな印象を持たれているのに対し、太陽光発電で使われる「過積載」はむしろポジティブな意味も持っています。

目次

過積載とはどういう意味?

まず、太陽光で発電するためには、太陽光から電気を生み出す「パネル」と、パネルによって作られた電気を送電のために変換する「パワーコンディショナー(以下、パワコン)」が必要です。

その、電気の受け皿となるパワコンの容量を超えて太陽光パネルが設置されていることを「過積載」と呼びます。

トラックや貨物船などの過積載は法律で定められている危険な行為に当たりますが、太陽光発電における過積載は違法ではなく発電量向上が見込める方法なのです。

過積載の仕組み

太陽光パネルの発電量として表される数値は最大出力であり、天気が良く発電に適している時に発揮される発電量です。

しかし実際は、天気や朝夕など時間帯によって日射量が少なく、パネルの発電量がパワコン容量に達していない状態であることが多いです。

そこで考えられたのが、過積載です。

パネルの合計容量をパワコン容量よりも増やすことで、パワコン容量の余白部分を補う方法です。(図の赤塗部分)

引用:【タイナビ発電所】太陽光発電に不可欠の「過積載」買取価格へのペナルティを防ぐ方法

メリット

● トータル発電量が増える

天気や朝夕などの日射量が少ない時でも、パネルを増やすことで発電量を底上げすることができます。

全体の発電量が増えれば、それだけ売電による収益を上げることにも繋がります。

● パワコン稼働率が上がる

パワコンは容量によって価格に差があります。容量の大きいパワコンの能力が生かしきれない状態では費用対効果は低くなってしまいます。

過積載を前提に、少なめの容量のパワコンにすることで初期費用を抑えることも可能です。

デメリット

● ピークカット分の電力ロス

パネル発電量が最大となる時はパワコン容量を超えるため、はみ出した電力は変換されず売電されません。

● パワコンのメーカー保証

パワコンメーカーの保証は、一般的に10~15年保証がついています。

しかし、過積載はパワコンの容量以上のパネルを設置するため、パワコンにかかる負荷を懸念して保証外とするメーカーもあります。また、過積載率によって保証内外が決まるメーカーもあります。

過積載率(%) = パネル容量 ÷ パワコン容量 × 100

過積載導入のポイント

● 事後増設は要注意

既に認定取得している10kW以上※1の発電設備に、パネルを3%もしくは3kW以上増設して過積載にした場合、買取価格変更などの罰則が課されます。

※1 10kW未満の発電設備が事後増設をしても罰則はありません。

申請時パネルの合計出力増加分パネル罰則
100kW以下の場合3%以上の増加買取価格が変更される
100kW以上の場合3kW以上の増加
補足:認定後にパネルを減らすなどして、発電出力を20%以上少なくした場合も同様の罰則があります。

価格変更の罰則が適用されるのは、増加分だけではなく、既に認定を受けているパネル分も含む設備全体のため、もしも罰則適用されてしまうと収益に大きな影響となります。

変更認定申請に関しては、上記の条件に当てはまらない場合でも必要です。

● パワコンのメーカー保証を確認

デメリットのところで少し触れましたが、パワコンメーカーによっては過積載をすることで、保証が受けられなくなる可能性があります。

しかし、昨今では過積載はひとつの選択肢として認められており、保証内とするメーカーも増えています。

そこでポイントとなるのが、過積載率です。

過積載率が120~130%の場合は保証内としているメーカーが一般的で、メーカーによっては200%まで保証するところもあります。

過積載を検討している場合は、パワコンメーカーの保証内容まで確認しておくと安心です。

● 発電所に合った運用を見極める

日射量が少ない時間帯や天気の場合は発電量を増やすことができますが、パワコン容量を超えて変換されない(ピークカット)電力ができる可能性も高いです。

「増やす電力」と「ピークカットされる電力」どちらのメリットが高いかは、発電施設環境によって違います。

そのため、事前に発電量のシミュレーションを行い、施設に合った方法を見極めることがカギとなります。

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